リフォームの問題点

増築と改築と改修とどう違うのでしょうか・・・


 増築は、既存の建物を残して、新たに床面積を増やすこと。
 では、改築と改修の違いは?
 改築とは、建築基準法では、主に建物の全部又は一部を取り壊した後に、引き続き、これと位置・用途・構造・階数・規模が 著しく異ならない建物を建てること、と規定しています。一般的には、床面積を変更せずに間取りの変更を伴う工事を行うことを指すようです。
 改修の定義はないようですが、一般的には「リフォーム」という言葉を使って、増築、改築、内外装の変更などを全て含む言葉と して使い分けているようです。
 従って、簡単に「リフォーム」という言葉を使っても、工事の内容によって、確認申請を必要とするかしないか、分かれてきます。
 家族が増えたので、使い勝手を良くしたいので・・・ 理由は様々でしょうが、資源を大切にしよう、という昨今の考え方からすると、 これからは新築と同じように「リフォーム」を選択する方が増えていくのではないでしょうか。 有名なテレビ番組のビフォーアフター。 リフォームできたらいいな、と思っている方は多いと思います。 また、大地震に備えたいが、建て替えはできないし・・・行政からの補助金が使える場合もあるから、耐震改修をしようか! と、耐震改修を検討されている方も多いかと思います。
 でも、ちょっと待って下さい! この「リフォーム」には問題が多く隠されているのです。ご存じですか? リフォーム工事を看板に掲げるのに許可はいらない、ということを! 正しくは、建築一式工事においては1件1500万未満、その他の工事では500万円未満の場合、 原則として建設業という許可なしでリフォーム工事をおこなうことができるのです。 つまり、全くの素人のあなたが、「リフォーム工事を行います」という看板を出し、500万円未満の工事を請け負っても良いのです。 ですから、「便利屋さん」に頼んで、簡単なリフォームを行うことができるのです。
 新築や増築、改築を行う場合は、「建築確認申請」を出さなければなりませんが、床面積等を変えずに「リフォーム」を行う場合、 申請手続きは一切いりません。 確認申請には、建築士が設計を行い、建築士の監理の下で県の許可を得た業者が工事を行うことが義務づけられて いるのですが、この確認申請を必要としない範囲の工事に対しては、何の許可申請も必要ありません。
 従って、何の許可も取っていない工事業者が「床面積が変わらないリフォーム工事」を行うことができるのです。工事の出来不出来は勿論のこと、建物の安全性に係わる問題も見逃されてしまう危険性が潜んでいるのです。
 もし、あなたが、部屋の壁を窓に変えたい、壁を取って隣の部屋と一部屋にしたい等と考え、業者に工事を頼むとします。 建築士がいる業者なら、耐震面等検討し、壁を取る等の工事が建物全体に及ぼす影響をきちんと説明してくれるはずです。
 でも、建築士のいない業者なら、どうでしょうか?せっかくの仕事のチャンスをできないなんて言うはずがありません。 施主の要望に親切に応えてくれるはずです。つまり、要望通りの工事を行ってくれるはずです。 その結果、大事な筋交いを切って窓を作ってしまった、耐力壁を無くして一部屋にしてしまった、などという事態が起こるのです。
 壁紙を変えようなどという場合は、最近では素人でもできるキットが売られていますので、誰でもできます。 勿論プロに頼めば、簡単に張り替えをしてくれます。 トイレや浴室を新しくしたい、などという場合も、広さや窓等をいじらなければ、ほとんど問題はありません。
 筋交いが無くなっても耐力壁が無くなっても、通常の生活をするのには何の問題もありませんから、 危険性が潜んでいるなんて、何かがないとわかることではないのです。

 何かってなんだ?
 勿論、地震です。
 或いは、確認申請の必要な増改築をしようと思った時です。
 確認申請が必要となる場合、既存の建物を現行の基準法に適合させなければなりません。その際に不用意なリフォームが障害となってしまうことがあるのです。

 テレビCMで、広く明るい間取りに変えようと柱を抜いてしまったら四方の壁が倒れてしまった、のがありますが、現実に起こりうることなのです。

 また、広告によくある「坪○○円でできます」という言葉にも要注意です。
 壁紙もトイレもお風呂も、メーカーによって様々な種類が出ています。当然、高い物から安い物まで、様々ありますから、 安くできる、ということは、それだけ安い材料や安全性の低い物を使っているということなのかもしれません。
 よくあるトラブルに給湯器の問題が挙げられます。 「オート機能」と「フルオート機能」の違いがわかりますか? 「オート機能」とあるわけですから、自動でお湯を張り、追い炊きもして温度の調整も一定に保ってくれる、と勘違いしますが、 これは「フルオート機能」です。 「オート機能」では、自動でお湯を張ってくれるまでです。追い炊きは自分でその都度ボタンを押して行います。 中には追い炊きの機能のない機種もありますので、中身をきちんと調べてからでないと、油断ができません。
 当然、この機能の違いによって、値段も割引率も異なってきます。 或いは、人件費を安く抑えているのかもしれません。 職人さんも、熟練した職人さんから修行中の職人さん、或いは素人同然の人など、様々ですから、 当然、人件費も様々になってきます。 人件費を抑えているということは、熟練した職人さんを使っていないということかもしれません。
 何でもそうですが、安いには理由が必ずあります。 ボランティアで安くしてくれる業者などいるはずもありません。 仕入れ値を安くして、その分施主に還元してくれているのか、型遅れで安くなるのか、職人さんの手間賃が安いのか、 とにかく、見積を取って、細かくチェックする必要があります。
 そんなことまでやっている暇がない!見ても素人にはわからない! という方。 ぜひ、設計事務所にご依頼ください。
 新築・増築・改築だけが設計士の仕事ではありません。 どういう風に改修したら良いか、のご相談から、材料や機種の選定、 どの業者が良いのか、数社から見積を取って選ぶ作業から工事の監理まで行うのが設計事務所なのです。


 国土交通省のホームページにも細かな説明が載っています。
 一度ご覧ください。