設計事務所とは、建物の設計を行い、図面を描くだけ、と考えてはいませんか？
　一言で言うと、個々の方のご要望や条件、建物の用途、資金の面などをじっくりとお聞きし、 いろいろな提案をしながら、ご満足のいく建物を建てて行くためのまとめ役、オーケストラで言えば、 指揮者のような役割が設計事務所の仕事です。
　ですから、設備面でのご相談や家具や電化製品などの選択のお手伝いもいたしますが、それだけではありません。役所との交渉、確認申請には設計士が必要になります。 また、家具や設備面も含めた費用全体の見積もりチェック、施工会社や業者の選定、 工事の監理、検査時の立ち会い、完了時の施工チェック、引き渡し後のメンテナンスなど、 広範囲、長期に渡っての仕事になります。

　戸建ての住宅を建てたいのだけれど、良い家の条件とは何か、と良く聞かれまが・・・
　私自身は窓が大きく日当たりの良い部屋が大好きです。 ですが、窓が大きいということは当然外からもよく見える、ということになります。 また、家具なども日焼けしやすくなりますので、嫌だ、という方も当然いらっしゃいます。 また、小さなお子さんのいらっしゃる若いご夫婦ならば、お子さんが喜ぶ仕掛けを施した部屋作りを喜ばれますが、 ご年配の方が同居される場合は、段差をなくし、手摺を設ける、場合によっては、車椅子の使用を考えた設計にしなければなりません。
　バブル期には、建物は２～３０年で建て替えるもの、という考え方が主流でした。従って、メンテナンスの面が考慮されることはありませんでした。 しかし、今は違います。長期優良住宅認定という制度ができました。 環境面からも当然ですが、一度建てた建物を壊すにも莫大な金額がかかりますから、手をかけながら、なるべく 長い年月に耐えられるよう、メンテナンス面にも配慮していくべき、という考え方が主流です。 　
　人にはそれぞれ好みがあります。また、住まわれる方の年齢構成も人数等の条件も年数が経てば変わっていきます。その時々の流行り廃りもありますし、場合によっては、法令なども変わってしまうことがあります。 長い年数で見た場合、良い家とはこういうものだ、と簡単に語れるものではありません。ですから、設計事務所の役割が重要になってくるのだと思います。 　
　家を建てる、ということは大変なことです。昔は、一度目は失敗作、二度目はまあまあ、三回目にやっと満足のいく家になる、なんて言われていました。 でも、一生に何回も家を建てることができる人はまれです。大抵は一生に一回あるかないか、しかも相当高価な買い物になります。
　ですから、できるだけ計画の段階から施主様にはあれこれ悩んでいただき、我々建築士は施主様と共に 悩みながら、できるだけ満足のいく家を造るお手伝いをしていきたいと考えております。 施主様には悩みながら、そのプロセスも楽しんでいただきたい、と考えております。 勿論、当事務所が手がけるのは、個人住宅だけではありません。共同住宅や幼稚園もあれば、病院やお寺の設計も 手がけております。
　ですが、何を建てるのか建築物の用途は違っていても、当事務所の理念としていつも考えておりますことは、 施主様の意見や思いをじっくりとお聞きし、ベストの設計を提案していきたいということです。