家が建てられない

建て替えが出来ない! なぜ?


 家があるのに、建て替えができない!という理由はさまざまありますが、その内の大きな理由になる「擁壁」や「道路」の問題は 既に述べました。
 が、もう一つ、大きな問題があります。 それが市街化調整区域の問題です。
 「市街化調整区域」とは、 開発行為は原則として行わず、都市施設の整備も原則として行われない。つまり、新たに建築物を建てたり、増築することを極力抑える地域のことです。
 この区域に指定されていると、既存建築物の建て替えや、公共性の高い建築物を除いて、原則として個人の住宅も建築物も建てる事ができなくなります。 「既存建築物」というのは、この「市街化調整区域」が施行される以前から既に建っていた建物のことを指します。 施行前から建っていたのですから、急にこの法律が施行されても困るわけです。 そこで、施行前から建っていた建物の建て替えは認めようというものです。 ですが、普通の場所ではありませんから、施行前から建物があったという様々な証拠を提示し、特別な許可申請をしなければ なりません。
 これを「43条の許可申請」と言います。 行政によってもどのような書類が必要か、又、その土地によっても、どのような手続きが必要かは異なりますので、 必ず事前に行政に確認が必要です。
 しかし、この「既存建築物」というのが曲者です。 昔は今ほど「建築基準法」が遵守されていませんでしたので、新たに建物を建てたり、増築・改築を行う際に必要な確認申請を 取らずに、行政に無断で建築物を建てるということが行われてしまうことがありました。
 中には、他の場所よりも安いからという事で、「市街化調整区域」とは知らずに土地を買い、業者に言われるままに家を建ててしまった、ということもあるようです。
 今では不動産売買には必ず「重要事項説明書」がつきますので、このような事態は避けられるのではないかとは思うのですが・・・ それにしても、周辺に多数の個人住宅が建っていたりすると、まさか「市街化調整区域」に指定されているとは知らずに購入してしまったとしても無理からぬことと思います。しかし、このような場合は、当然として「既存建築物」にはあたりませんから、建て替えができません。
 先程も申しましたが、以前は「確認申請」も取らず、「完了検査」も受けない、ということがあったようですが、 現在は違法として厳しく指導され、場合によっては、建物の撤去に至るケースもあるようです。 従って、「昔は」とか「以前○○さんの家が・・・」ということを理由に建て替えようとしても厳しい現実が待ち受けています。
 もっとも、ケース・バイ・ケース。事情によっては、何とかなる場合もあります。 とにかく、ご自分の敷地が建築基準法のどのような地域に指定されているのかは知っておいた方が良いと思います。