擁壁の問題点

古い擁壁がある

擁壁とは、敷地「A]と敷地「B]のような高さの差がある場合に崖が崩れないように押さえの処置を施した物を指します。この擁壁を造る際には、行政により細かい決まりが定められていますし、建物と同じように工作物の許可申請を必要とする場合が あります。

 新しく造られている物は比較的問題がありませんが、古い物になると大谷石やコンクリートブロックなどを積み重ねて出来ている物がありますが、これは建築基準法では認められていません。
 また、「亀裂・はらみ」と言いますが、擁壁が壊れかけていて安全性が保証できない場合にも造り直さなければなりません。造り直すことが簡単にできれば良いのですが、ほとんどの場合、かなり難しい問題を抱えていることが多いのです。
 
 問題1・・・擁壁はご自分の敷地だけにありますか?   
     
ほとんどの擁壁が隣家、或いは数件の敷地との一体型になっています。         
従って、構造上、ご自分の敷地だけを造り直すことが可能かどうかを確認しなければなりません。もし、不可能な場合は、その擁壁全体を造り直すしかありません。ということは、この擁壁に接している敷地の所有者の合意が必要になるということです。費用がかかることですから、これはとても難しい問題になりす。


問題2・・・敷地境界はどこにありますか?      

一般的に擁壁をはさんでの敷地の場合は下記の図のようにこの擁壁によって守られる敷地を所有する上の人ががこの擁壁の所有者になります。            
そして、敷地境界は擁壁より少し離れた下の場所になります。              
これは擁壁の基礎の部分までがご自分の所有地でなければ、擁壁を造り直すことができなくなるからです。           
ところが、たまにですが、この敷地境界が擁壁の上端にある、というケースがあります。      
擁壁がご自分の敷地内であっても、擁壁の造り直しは容易ではありません。 工事をする場合、重機が入るわけですが、下の敷地から入らなければならない場合、下の敷地所有者の許可が必要になります。また、重機が入るだけの敷地の余裕も必要になってきます。                                          


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問題3・・・擁壁は何でできていますか?

 新しく造られいる擁壁は比較的問題がありませんが、古い物になると大谷石や コンクリートブロックなどを積み重ねて出来ている物があります。残念ながらこれは建築基準法では認められていません。       
 また、「亀裂・はらみ」と言いますが、擁壁が壊れかけていて安全性が保証できない場合にも造り直さなければなりません。造り直すことが簡単にできれば良いのですが、ほとんどの場合、難しい問題を抱えていることが多いのです。

 また、新しい擁壁であっても、問題のある場合があります。
 上図を見てください。
 もともとは、敷地自体が斜面になっていて、その一番低い場所に擁壁が造られていました。ところがこの状態では有効利用できる敷地が少ない、ということで、 最初に造られた擁壁の上に更に擁壁や土留めを造り、その部分に土を入れ、敷地全体を平らにしてしまったのです。
 このような状態を二段擁壁と言います。 建築基準法では、このような状態は認められていません。 従って、このような敷地の場合は、元の状態に戻す、 つまり、土を入れた部分(上図ではオレンジ色の部分)の土を掻き出すか、擁壁を造り直すか、のどちらかにする必要があります。
 なぜ、このような二段擁壁が造られてしまったのか?
 二段擁壁が違法である、という認識を持たない業者が多くいるからではないかと思います。 或いは、違法であることを知っていながら、依頼者に説明せずに、工事を行う業者がいるからかもしれません。 又は、違法であると説明されながらも、やった者勝ち、みたいな感覚があるからか・・・ つまり、違法ではあっても取り締まりされたという話は聞いた事が無く、ご自分が住む上では何も支障がないと 思ってしまうからかもしれません。
 でも、それは、今までは事故が起きなかったから大丈夫だと勘違いしているだけで、 今後も事故が起きる心配がない、ということではありません。
 今は良くても、いつか建て替えをする時に大きな問題となってくるのは明らかです。
 擁壁の問題点は、今は良いけれど、将来、お子さんが家を建て替えようと考えた時に、大きな障害となって立ちはだかる 負の遺産になってしまうことがある、ということをよく考えておかなければなりません。 かといって、横浜のように平坦な土地が少ない地域では、擁壁を造らなければ家を建てる敷地がない、という現実もあります。
 以前、ある役所の担当者から言われた言葉です。
「擁壁にはリスクがあるから、その分、他の土地より安かったはずだからね。それを承知して購入しているはずなんだから、 それを今更どうにかならないかと言われても、役所も困るんだよね。」

敷地に擁壁のある方は普段からのチェックを忘れずに!


・擁壁に亀裂や膨らんでいる所がないかどうか。          
・水抜き穴はきれいな状態か 。
 特に大雨が降った時には、水抜き穴から水が出ているか確認しましょう!         
・水が出てこない状態は危険です。
 敷地内に降った雨がどこに抜けているのか確認しておく必要があります。
 擁壁の下には流れ出た水を排水する側溝があるはずですが、たまにない場合もあります。
 側溝の状態も確認しておきましょう。
 また、側溝がない場合は、流れ出た水が、隣地に被害を与えてしまう危険性もあります。
・擁壁の下側の隣家とは普段から仲良くしておきましょう。